君の名は。-2

私は「君の名は。」に関する巷の見解を見ても意図的に全てスルーしているのだけれど、それでも幾つかの見解が記憶に残っているので、これを紹介した上で若干のコメントを加える。 1. 以前女子高生か何かの二人組が喫茶店で、「『君の名は。』を見たが、内容…

君の名は。

私は「君の名は。」を良い映画だと考えている。そこでそのように考えるに至った背景について、本作の大雑把な解釈を交えながら述べたいと思う。 本作はしばしば恋愛映画だと称されているように私の目には映るが、私はそのようには考えておらず、むしろ未完成…

2-5

「この世界の片隅に」に言及する。私は三つの理由からこの映画をあまり気に入っていない。すなわち、 1.「戦争の間も変わらず営まれてきた日常がある」という主張に面白みを感じない 2.日常の精緻な描写に関心が持てない 3.のんの演技が聞き苦しい この三…

小林さんちのメイドラゴン-4

7話時点で本作に対して言い得ることを述べる。 1. ファフニールやルコアはトールの保護者的な位置に付いて話を回していくのだと4話時点では考えていたが、そうではなく、各々人間に何らかの関心を持ち、従前の人間観に修正を加えていくことになるようだった…

けいおん!-3

けいおん!から私が抽出した日常系アニメの要件についてごく簡単な素描を行う。ここではけいおん!に関する具体的な言及は行われない。 優れた日常系アニメは、次の二つの要件を満たすと考える。すなわち、 1.日常が描かれていること 2.1で描かれる日常が…

灼熱の卓球娘-4

ざくろのくるりに対する感情の変化は大方検討したところだが、くるりのざくろに対する感情はどうか。管見の限り、この点については既に優れた検討が存在するため、私が敢えて付け加えることはないのだが、要点をまとめておきたい。 くるりは自分の卓球に対す…

1-8

最近巷では「けものフレンズ」というアニメが流行っているけれど、私はこれを視聴していない。あるアニメを視聴していないからといって直ちにそのアニメに対する言及をすることができないとまでは言えないけれど、私は当該アニメの台詞や表現を十分意識し時…

けいおん!-2

以前けいおん!1期は完全な作品であるという主張をしたが、それは誤りではないけれどもここで言葉を尽くして明らかにしたい事柄ではないと気がついた。むしろ、けいおん!は1期2期を通じて常に最善の作品であるということを申し上げたいのである。 けいおん…

灼熱の卓球娘-3

1. 大要、ざくろがくるりに求めていたのは、「くるりの卓球の強さ」ではなくて「くるりがくるりであること」であり、この無償の愛がくるりを救ったという見解を目にした。これに対して私は、ざくろがくるりに無償の愛を向けているという主張自体非常に魅力的…

灼熱の卓球娘-2

卓球娘は真っ直ぐな想いをストレートに卓球でぶつけ合う熱いアニメ、と言えば多分間違ったことを言ったことにはならないのだけれど、その彼女達の真っ直ぐな想いがどうやって育まれてきたのかと考えると、カップリング単位で見ていくのが妥当らしいという結…

灼熱の卓球娘

積んでいた灼熱の卓球娘を鑑賞し、本当にいい気分になったのでその感想を記す。 このアニメは、キャラクター各人の個性自体はさほど巧妙に描かれている感じはしない。決めゼリフや決め技などで割合大雑把な味付けがなされているように思った。 でも、その薄…

1-7

日に日に記事を更新するのが苦痛になってきて、昨日いよいよその閾値を超えたので毎日更新を断念したのだけれど、それは何故なのか考えてみると、書きたくもないようなことを書かざるを得ない袋小路に自ら嵌り込んでしまったからだと悟った。 あるコンテンツ…

1-6

けいおん!1期を場の軽音部を主題に捉えたものとして理解する意義について考えていたが、その前提としてアニメにおける主題の位置付けを検討したところ混乱を来したので、その有様を記す。しかし結論としては意味のない考察に終始しているように思われる。 …

けいおん!

私は、けいおん!は完全な作品であり、けいおん!!は完全とは言えないまでも非常に優れた作品だと考えている。そこで本作については委細を尽くして思うところを述べていきたいと考えているが、いざ言語化しようと思うと中々難しく、どうしても「良いものは…

1-5

あるコンテンツを他人から薦められることについての見解を略述する。 先だってあるコンテンツに対する見解の全てに耳を傾けるリソースを私達は持ちえないと主張したが、それ以前に、私達が摂取できるコンテンツの量にもまた限界があるのである。全てのコンテ…

谷間のゆり

バルザック『谷間のゆり』を読み終えたので、モルソーフ伯爵という人物について一言だけ述べてみる。 このモルソーフ伯爵という人物、長年の亡命生活ですっかり精神を病んだ果てに帰国し、その傷も癒えぬまま家中の者に暴虐の限りを尽くすという形で描かれて…

小林さんちのメイドラゴン-3

小林さんちのメイドラゴン4話を視聴したので、若干の感想を述べる。 1. 4話はまず、新キャラの才川リコの存在が大きい。実に可愛い。まだ出番が十分でなく、本作の人間関係の中に十分位置づけられていないので、次回以降もどんどん出演して欲しいと思ってい…

2-4

登場人物の持つ悩みを処理する方法に関連して、ポッピンQの抱える問題点について一言だけ述べる。 ポッピンQは思春期を迎えてそれぞれ悩みを抱える五人の少女達が異世界に召喚され、人々との出会いや冒険を通じて成長を遂げる物語であると私は理解している。…

2-3

前→2-2 - 蝋板に鉄筆で 「めんま」の願いを叶えるという目標と「じんたん」の母親の遺志を叶えるという実態に齟齬がある点については既に指摘したところである。その齟齬を解消しうる解釈を探る。 実のところ、「めんま」の願いが実体として存在することを要…

1-4

前→1-3 - 蝋板に鉄筆で あらゆる見解に対して寛容になることができないのは、私達が他人の見解を吟味するのに割き得るリソースが限られている以上やむを得ないことであるとして、どの範囲までならば寛容になることができるかを考えるのはなお有用である。換…

1-3

オタクコミュニティの内部における寛容について一言する。このテーマは、けいおん!について述べる際の前提になると私は考えるので、早い段階で言及しておく必要がある。 ひとがあるコンテンツに触れたときに持ち得る見解は多種多様であり、自分の持つ見解と…

1-2

あるコンテンツについて他人と語ることに隣接すると思われる、あるコンテンツを他人に薦めることについて若干の見解を述べる。 あるコンテンツを他人に薦める場合、これについて語る場合と異なって、事前に見解を言語化しておく必要がないことが経験上分かっ…

2-2

前→2 - 蝋板に鉄筆で 先の記事で、私は「めんま」の出現理由が「じんたん」の母親の遺した言葉に紐づけられているという点につき、これを当該作品の致命的欠陥と表現するつもりだった。しかし、このような話の筋書きが物語として全く不適当であるとは言えな…

2

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」という作品がある。本作は私が今まで観たアニメの中で最も悪い印象を残した作品である。今回は如何なる点が私に悪印象を残すのに寄与したか検討する。 本作の悪い点は、挙げようとすれば枚挙に遑がない。主人公…

小林さんちのメイドラゴン-2

昨日の主張に関して、小林さんちのメイドラゴンで描かれる人間関係に関して、小林とトールの関係に留まらず、3話時点で明らかになった範囲について補足する。本作の人間関係は構造上も繊細なグラデーションで構成されており、その絶妙な距離感を鑑賞するのが…

小林さんちのメイドラゴン

「小林さんちのメイドラゴン」を3話まで視聴した。京アニ汎用でなくかつ丁寧に作られた絵柄、音楽、田村睦心さん演じる小林の声など加点ポイントは多々あるが、最も特筆すべき点は、各作中人物間の微妙な距離感だと思っている。この点について、差し当たり小…

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このブログを開設する意義は二つある。すなわち、 1.140字の枠を取り払ってより大きな観念を形成し、これを文章で表現すること 2.ある作品について他人と語るための準備作業を行うこと である。以上を敷衍すると次のようになる。 1. 日頃Twitterを活動の…