蝋板に鉄筆で

自由帳

放課後のプレアデス

放課後のプレアデス4話において取り扱われるひかるの問題は極めて繊細であるところ,その言語化を簡潔に行っておく。

 

父の曲にソの音を書き入れたひかる,その箇所をずっと聴けなかったひかる。それは何故か。最後まで聴いたら,きっと泣いてしまうから。

ならばひかるが泣くことを恐れるのは何故か。何かを受け止められないから泣くのだとすればそれは何か。

ちっぽけな見栄で,親の愛を素直に受け止められない。差し当たり,ひかるの弱さがそこに示されている。それに本当は分かっていたんだろう。ひかるが楽譜にソの音を書き加えたことに父親が怒ってなんていないことを。そうでなくて,ひかるが書き入れたソの音ごとその曲を愛して,そうしたひかるを愛して,愛して,愛していたことを。

でも,ひかるは両親を愛していて,両親もひかるを愛していて,それなのに,ひかるのほんのほんの小さな見栄で,お互いに伝えられずにいる,伝わらずにいる。お互い分かっているはずなのに。こんなところだろうか。