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登場人物の持つ悩みを処理する方法に関連して、ポッピンQの抱える問題点について一言だけ述べる。

ポッピンQは思春期を迎えてそれぞれ悩みを抱える五人の少女達が異世界に召喚され、人々との出会いや冒険を通じて成長を遂げる物語であると私は理解している。その成長とはすなわち彼女達が抱える悩みに対して何らかの回答を出し、悩みを解決するか又は解決する為の方向性を見出すことである。

しかしながら本作では、異世界に召喚された五人(注:正確には、五人のうち四人である。五人目との和解はストーリー上別の段階においてなされる)が互いに打ち解ける過程で、各々の抱える悩みの具体的な分析に入ることなく、皆「悩みを抱えている」という点において「同じ」であり、それゆえ友達乃至仲間として協働しうるという理屈で団結している。かつ、いうところの「同じ」問題を解決する方法と異世界を救う方法が五人で踊るダンスであるということになり、非常に大まかな形で異世界の問題及び五人の悩みの双方の解決が導かれる。

以上述べた通り、ポッピンQの抱える問題点は、複数人の抱える問題を一本化する際に生じた抽象化の失敗と、問題分析の拙劣さから生じた問題と問題解決方法との合理的関連性の薄さの二点に集約されると思われる。