2017-01-01から1年間の記事一覧

けいおん!-4

けいおん!シリーズ全体の意義を簡潔に述べる。 けいおん1期は、①善なる人間が②自らの興味関心に即応した③小コミュニティを形成した場合の成功例を端的に示している。①②③の要素の全てが重要である。けいおん1期はあくまで善良な人間が集うことによるポジティ…

SHIROBAKO

SHIROBAKOは私にとって他のアニメで代替し得ない最高アニメの一つであり、決して語り尽くすことができない。そこで、ごく簡単な形で、SHIROBAKOの魅力を素描する。 本作は、本当にありふれた易しいテーマを、アニメ制作という特殊な素材で語るところに大きな…

フレームアームズ・ガール

標記の作品を鑑賞した。あまり私向きの作品ではなかったが、それでも感じ入るところはあり、また近年(と言い切れるほど昨今及びそれ以前の作品に詳しいわけでは全くないが)の流行(?)とでも言い得る人間関係の描写が為されていたように感じたので、備忘にメ…

恋は光-2

『恋は光』の既刊部分を全て読み終えたが、本当に最高の作品だと感じている。しかしながら本作の何に言及すると有意味なのか、非常に悩んでいる。いや、有意味なことにコメントしなければならないという限定があるわけではないので、何をコメントしてもいい…

恋は光

『恋は光』シリーズを読み始めている。本作は、登場人物が自身の感情それ自体を、感情の発生原因にまで遡りながら具体的に言語化することが徹底されており、従って精密な議論の対象にしやすいように思われる。他面それは読者の側もまた本格的な議論に堪え得…

ステラ女学院高等科C3部-3

3. 先日知人と議論した結果、霊的存在が本作の非常に重要な構成要素として浮かび上がってくることが判明した。ゆらの内面の問題との関係では霊的存在の意義は極めて大きい。そしてまた本作で霊的存在が本重要視されていることは、本作が他にも多数の問題提起…

ステラ女学院高等科C3部-2

2. 何らかの人間の集団を描くアニメは数多存在し、勿論本作で描かれるC3部もある種の人間の集団である。ではC3部の特質とは何か。ある見解によれば、本作は所謂オタクサークルで生じがちな問題の一局面を描いた作品であるという。私はこの見解に賛同するもの…

ステラ女学院高等科C3部

C3部を全話鑑賞した。差し当たり13話は本当にどうしようもない出来なので観なかった振りをするが、それでもなお言及するに値する破局が描かれていたように感じる。現時点で破局に至る要因を完全に解明することには困難を感じるものの、既に幾つかの手掛かり…

僕らはみんな河合荘

『僕らはみんな河合荘(9)』を読んだ。本当に完全に最高の漫画で、この時を迎える為に既刊全8巻を読んできたのだ思える程感動してしまった。一体河合荘9巻は如何なる点で最高だったのか、少しばかり解き解しておこうと思う。 まず9巻について当然指摘しなけれ…

小林さんちのメイドラゴン-9

小林さんちのメイドラゴン最終話を視聴した。この最終話は、演出等素晴らしい出来ではあったものの、どうしても消化しきれない論点を抱えたと思われる。如何なる点で、どのように未解決の論点が表出したかについて、簡単に指摘しておく。 終焉帝がトールを元…

小林さんちのメイドラゴン-8

8話は小林とトールの関係が今如何なる位置にあるのかが再度問われる回である。ここでは関係に何らかのレッテルを貼ることは必ずしも重要視されず、複層的で不確定な関係が描かれる。その中で、とりわけ8話終盤における、トールの小林に対する嫉妬を描いたシ…

小林さんちのメイドラゴン-7

細かい論点だが、原作とアニメ版の関連について二点言及する。 1. 原作とアニメ版の顕著な違いの一つとして、原作にある割とド直球の下ネタパートをアニメ版ではバッサリとカットしている点にある。下ネタパートが原作にいかなる華を添えているのか、私自身…

小林さんちのメイドラゴン-6

小林さんちのメイドラゴンの原作に一通り目を通したので、アニメ化の成否について10話放映終了時点での見解を述べておきたい。先に結論を言えば、アニメ版の小林さんちのメイドラゴンには、原作と独立した価値を見出し得ると考えている。 アニメ版が原作と一…

小林さんちのメイドラゴン-5

9話放映時点での8話に対する見解を記す。 私の知る限り、アニメ版のメイドラゴンは小林・トール・カンナの関係性を家族愛に寄せて描いているという見解があるところ、これには賛成できる。例えば2話でこそカンナが小林の家に乗り込んだときにトールはカンナ…

君の名は。-2

私は「君の名は。」に関する巷の見解を見ても意図的に全てスルーしているのだけれど、それでも幾つかの見解が記憶に残っているので、これを紹介した上で若干のコメントを加える。 1. 以前女子高生か何かの二人組が喫茶店で、「『君の名は。』を見たが、内容…

君の名は。

私は「君の名は。」を良い映画だと考えている。そこでそのように考えるに至った背景について、本作の大雑把な解釈を交えながら述べたいと思う。 本作はしばしば恋愛映画だと称されているように私の目には映るが、私はそのようには考えておらず、むしろ未完成…

2-5

「この世界の片隅に」に言及する。私は三つの理由からこの映画をあまり気に入っていない。すなわち、 1.「戦争の間も変わらず営まれてきた日常がある」という主張に面白みを感じない 2.日常の精緻な描写に関心が持てない 3.のんの演技が聞き苦しい この三…

小林さんちのメイドラゴン-4

7話時点で本作に対して言い得ることを述べる。 1. ファフニールやルコアはトールの保護者的な位置に付いて話を回していくのだと4話時点では考えていたが、そうではなく、各々人間に何らかの関心を持ち、従前の人間観に修正を加えていくことになるようだった…

けいおん!-3

けいおん!から私が抽出した日常系アニメの要件についてごく簡単な素描を行う。ここではけいおん!に関する具体的な言及は行われない。 優れた日常系アニメは、次の二つの要件を満たすと考える。すなわち、 1.日常が描かれていること 2.1で描かれる日常が…

灼熱の卓球娘-4

ざくろのくるりに対する感情の変化は大方検討したところだが、くるりのざくろに対する感情はどうか。管見の限り、この点については既に優れた検討が存在するため、私が敢えて付け加えることはないのだが、要点をまとめておきたい。 くるりは自分の卓球に対す…

1-8

最近巷では「けものフレンズ」というアニメが流行っているけれど、私はこれを視聴していない。あるアニメを視聴していないからといって直ちにそのアニメに対する言及をすることができないとまでは言えないけれど、私は当該アニメの台詞や表現を十分意識し時…

けいおん!-2

以前けいおん!1期は完全な作品であるという主張をしたが、それは誤りではないけれどもここで言葉を尽くして明らかにしたい事柄ではないと気がついた。むしろ、けいおん!は1期2期を通じて常に最善の作品であるということを申し上げたいのである。 けいおん…

灼熱の卓球娘-3

1. 大要、ざくろがくるりに求めていたのは、「くるりの卓球の強さ」ではなくて「くるりがくるりであること」であり、この無償の愛がくるりを救ったという見解を目にした。これに対して私は、ざくろがくるりに無償の愛を向けているという主張自体非常に魅力的…

灼熱の卓球娘-2

卓球娘は真っ直ぐな想いをストレートに卓球でぶつけ合う熱いアニメ、と言えば多分間違ったことを言ったことにはならないのだけれど、その彼女達の真っ直ぐな想いがどうやって育まれてきたのかと考えると、カップリング単位で見ていくのが妥当らしいという結…

灼熱の卓球娘

積んでいた灼熱の卓球娘を鑑賞し、本当にいい気分になったのでその感想を記す。 このアニメは、キャラクター各人の個性自体はさほど巧妙に描かれている感じはしない。決めゼリフや決め技などで割合大雑把な味付けがなされているように思った。 でも、その薄…

1-7

日に日に記事を更新するのが苦痛になってきて、昨日いよいよその閾値を超えたので毎日更新を断念したのだけれど、それは何故なのか考えてみると、書きたくもないようなことを書かざるを得ない袋小路に自ら嵌り込んでしまったからだと悟った。 あるコンテンツ…

1-6

けいおん!1期を場の軽音部を主題に捉えたものとして理解する意義について考えていたが、その前提としてアニメにおける主題の位置付けを検討したところ混乱を来したので、その有様を記す。しかし結論としては意味のない考察に終始しているように思われる。 …

けいおん!

私は、けいおん!は完全な作品であり、けいおん!!は完全とは言えないまでも非常に優れた作品だと考えている。そこで本作については委細を尽くして思うところを述べていきたいと考えているが、いざ言語化しようと思うと中々難しく、どうしても「良いものは…

1-5

あるコンテンツを他人から薦められることについての見解を略述する。 先だってあるコンテンツに対する見解の全てに耳を傾けるリソースを私達は持ちえないと主張したが、それ以前に、私達が摂取できるコンテンツの量にもまた限界があるのである。全てのコンテ…

谷間のゆり

バルザック『谷間のゆり』を読み終えたので、モルソーフ伯爵という人物について一言だけ述べてみる。 このモルソーフ伯爵という人物、長年の亡命生活ですっかり精神を病んだ果てに帰国し、その傷も癒えぬまま家中の者に暴虐の限りを尽くすという形で描かれて…